シリコン注入

規制をものともせずにシリコン注入の人気が続いた陰には、いくつかの理由があります。

まず施術する側にも患者にも、どちらかといえば簡単だったことです。

危険や面倒なしに手術と同じ効果が得られ、しかも入院なしですむことから、美容外科には願ってもない治療法でした。

しかも、報告されるトラブルは重症から軽症までまちまちです。

医療用シリコンが人体にどんな影響をおよぼすかはまだはっきりわかっていなかったのに、医師も含めて大方の人びとは、トラブルの原因を不純物が混入した産業用シリコンや、ピーナツ油やオリーブ油などの代用品を使ったせいだと決めつけていた。

乳癌との因果関係についても同じことがいえます。

豊胸用シリコンに反対する外科医のほとんどが理由としてあげたのは、それが乳癌を誘発するからではなく、できてしまった乳癌の発見が遅れるからでした。